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天辰家の猫 リアムのひとりごと * その 5


うちから歩いてすぐの川は海に続いていて、一年を通じて釣りなどが楽しめる。平日は、毎日のようにやってくる地元の釣り人達で、週末はバーベキューや潮干狩り、ハゼ釣りの家族連れで朝早くから賑わっている。

生まれてこの方、一度も外に出たことのない家ネコのボクがなぜそんなことを知っているかといえば、朝起きて一番にご主人様のすることが、ベランダから川をのぞいて、潮の具合をチェックすることだからだ。
ボクもその背中越しにそうっと眺めているうちに「今日は大潮だな」とか「潮が濁ってるな」とか心の中でつぶやくようになっちゃったんだ。

9月に入ってもまだハゼ釣りは真夏並みの賑わいだ。台風が近づき、雲行きがあやしい日でも釣り人にはあまり関係がないらしい。それに今頃の方が「型」がよくなるとかで、きのうも仕事がひとくぎりついた、と竿とバケツ片手にご主人様は出ていき、数時間後、我が家の食卓には大盛りのハゼの天ぷら
が並んだ。

香ばしい匂いにつられ、ついつい興奮してしまったボクだけど、天ぷらになった魚は食べれなかったんだっけ。衣をとってもらって、身だけをちょっとテイスティング。ふわっ、ぷりっ、味もしっかりしていて、う~ん、なかなか。

それにもまして、上機嫌のご主人様の気前がよくなり、いつもよりボクのご飯も大盛りなのが嬉しい。釣果があった日のご主人様はニコニコだ。だからボクも食べられない天ぷらにだって大喜びしてしまうんだ。
(2004. 9)