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天辰家の猫 リアムのひとりごと * その 2

最近のご主人様は、よくぼやいている。
特に夕飯時、好物のお刺身の切れ端をもらおうと、ご主人様の足元でじっと待っているんだけど、箸を持つ手も止まりがち。ぼくのことなんか、ちっともお構いなしだ。

「こらこら、なにやっとんねん」
「いたたっ、あかんやろ、それは」
「そないかんたんに打ち上げて、どないすんねん」
「こりゃ、あかん、あっというまに、ビリっけつや」
「あほくさ、もうみんとこ」
どうやら、話しかけている相手は、テレビの向こうの某野球チームらしい。
どうも去年のような爆発力に欠け、ご主人様としては気が気じゃないらしい。

去年の今頃、ご主人様の機嫌はすこぶる良かった。毎晩、夕飯時が楽しくてしかたがないとホクホク顔だった。晩酌もすすみ、気前もよくなり、おかげでぼくの夕食も豪華だった。マグロの赤身、中トロ、タイ、ヒラメ、カツオ、カンパチ、スズキ・・・、ああ、楽しかったな、あの頃は。もう、あんな夢のような日々は帰ってこないのかな。

でも考えてみれば、去年まではいつも今みたいだったんだ。去年にしたって、ペナントレース中は最後の最後まで半信半疑だった。
「わからんでえ、まだまだ。肝心なとこで、ころっといかれよるからなあ」

そんなきつ~いことを言ったり、ぼやいたり、けなしたり、つきはなしたりしながらも30年以上、筋金入りの虎ファンなんだというから、同じネコ科のぼくとしては、ちょっぴり嫉妬してしまうくらいだ。
(2004. 6)